2013年4月〜2018年3月まで裁判所事務官(一時期は検察審査会事務官も兼務)として勤務し、現在はライターをしているみさちゅーです。
勤務当時の情報にはなりますが、裁判所事務官志望の方・公務員試験を控えている方に向け、裁判所職員の内部事情や仕事内容などをご紹介しています。
今回は、これから裁判所事務官として働く方へ向け、予習の必要性や予習におすすめの本をご紹介します。
裁判所事務官として働き始める前の予習の必要性
事件部の裁判所事務官は、手続きに関する知識を知らないと仕事にならない
まずは、裁判所事務官への内定おめでとうございます!
裁判所事務官になると、事件部なら手続きに関する専門知識(手続きの流れや用語等に関する知識)をもとに、状況に合わせた事務手続きや対応を行うことになります。
事前に軽く目を通しておいたり、言葉に触れたりしておくだけでも、仕事の覚えが違うのは事実です。
もちろん、完璧にマスターしておく必要はありませんが、早く仕事を覚えるためにも事前の予習をおすすめします。
※なお、実際に仕事が始まったら、何も知らないふりをしていたほうが周囲からのハードルが上がらずに済むと思います(^^;)こっそりと軽く触れておく程度がおすすめです。
入庁後は知らない言葉ばかり。知識なしではマニュアルも理解できずかなり戸惑いました
入庁後、裁判所の執務室(裁判所職員が働く部屋)で飛び交うのは知らない言葉ばかり。
入ったばかりの頃は、とりあえず知らない言葉をその都度メモして、後から先輩にまとめて聞いていました。
なお、マニュアルは専門知識があることを前提に作られているので、正直最初は自分一人で理解することは困難でした。
新採用職員には先輩からレクチャーあり。完璧にマスターする必要はないが、ちょっと知っているだけでも後が違う
しかしながら、裁判所で働くにあたり、就職までに専門知識を完璧に身につけている必要はありませんし、周囲もそこまで求めていないという印象でした(特にロースクール(法科大学院)や法学部以外を卒業した方)。
採用時に人事担当者からその旨の話があった方も多いでしょう。
私自身も「前提知識を入れておく必要はない」と言われていたので、何も知らずに入りましたし、その状態で入っても仕事はできました。
先輩方はもちろん教えてくれますが、やはり相手にとっては負担になります。
また、何より仕事を早く覚えるためにちょっとでも事前に予習できれていればよかったなぁと思った記憶があります。
効率性を重視するからこそ「本」からのインプットがおすすめ
裁判所での仕事が始まるまでに効率よく勉強したいなら、情報が1冊に詳しくまとまった「本」からのインプットがおすすめです。
もちろん、ネットでも断片的には勉強できますが、裁判の手続きや情報の結びつきはかなり複雑です。
また、言葉も堅くわかりにくいので、検索すればするほど疑問点が出てきてしまい、かえって効率が落ちてしまう場合もあります。
手続きの流れや実務は、Amazonでも買える裁判所職員総合研修所の本をチョイス
手続きの流れは、裁判所書記官になるための研修施設「裁判所職員総合研修所」(通称「総研」)の本がおすすめです。
Amazonでも新品が購入できます(2024/03/15現在)し、私も実際にAmazonで買ったものをこっそり使用していました。
入庁後は裁判所を通じて買うこともできますが、内部で買うと担当の方からみんなの前で自分に渡されるので、勉強している感が周りに出てしまうのが気になって…^^;
大体の裁判所職員は裁判所職員総合研修所の本を持っている
裁判所職員総合研修所とは、内部試験をクリアした裁判所事務官が、裁判所書記官になるための研修を受ける施設です。
同施設からの本は、裁判所書記官の養成課程でも実際に使用されているので、大体の裁判所職員は裁判所職員総合研修所の本を持っています。
\裁判所書記官試験についてはこちら/
他の本との違いは、実務に関する情報も豊富+担当書記官と知識を合わせられること
裁判所書記官の養成課程で使われるほどですので、知識はもちろん、実務に関する情報も豊富です。
ある程度知識がついてから疑問点が出てきた場合にも、手元に1冊あると便利。私自身も、これからご紹介する本は先輩書記官から教えてもらいました。
また、裁判所事務官は、事件の担当書記官(裁判所書記官)による指示のもと1件の事件に関わり、手続きを進めていきます。
裁判所書記官も同じ本を持っていることが多いので、話を合わせやすい観点からもおすすめです。
法律の専門書は堅い本が多いけれど、意外にも言葉がわかりやすい
これからご紹介する裁判所職員総合研修所の講義案は言葉がやわらかく、初学者にも比較的やさしい印象です。
法律の専門書は言葉が堅く、慣れていないと読み進めることに時間を要する場合も多くあります。
私自身は何の知識もないまま入庁したのでいろいろな本に手を出しましたが、最終的にはこれからご紹介する講義案を読むことで理解が深まったと感じています。
白黒・横書きの構成。メモや蛍光ペンでのラインが目立ちやすい
今回ご紹介する裁判所職員総合研修所の講義案は白黒+横書きの構成。
メモや蛍光ペンでのラインが目立ちやすいので、見返したときにわかりやすくおすすめです。
【民事部で働くなら】裁判所職員総合研修所 民事訴訟法講義案
民事部で働くなら、裁判所職員総合研修所の「民事訴訟法講義案」を一読しておくのがおすすめです。
【刑事部で働くなら】裁判所職員総合研修所 刑事訴訟法講義案
刑事部で働く場合は、裁判所職員総合研修所の「刑事訴訟法講義案」で予習を進めていきましょう。
【部署を問わずあると便利】法律用語が学べる、有斐閣の「法律学小辞典」
部署を問わずあると重宝するのが、学習や実務に役立つ用語を解説した、有斐閣の「法律学小辞典」です。
予習の段階では、分からないことがあっても教えてくれる人がいません。
疑問点を解消するためにも、事前に予習するなら一冊用意しておくのがおすすめです。
司法行政文書についても知っておくとラクかも
裁判所が作成する行政文書「司法行政文書」についても知っておくと、働き始めたあとがラクです。
以下のように、司法行政文書には一般的な文章とは違うルールがあります。
■項目の書き方は、第1・1・(1)・ア・(ア)の順
・項目が変わるたびに、項目の文頭を文字ずつ右にずらしていきます。
(例)「第1」に続いて、新たな項目を加えたい場合:「第1」の文頭である「第」から1文字分、右へずれた場所に「1」を記入します。
■「1ヶ月」など、月の区切り方には「ヶ」を使用しない
上記はほんの一部で、裁判所では、文章を作成するためのルールが非常に細かく決められています。
また、表に出る書類はもちろん、内部向けに作成する書類も司法行政文書のルールをもとに作成する必要があります。
裁判所で働き始めて間もないうちに行われる「新採用職員研修」後のレポート作りでは早速使うことになるので、概要だけでもざっと目を通しておくのがおすすめです。
\司法行政文書についてはこちら/
ちなみに、働き始めたあとは異動時の段階で専門知識を身につけておく必要あり
まだ先の話ではありますが、実際に裁判所で働き始めた後に異動を行う際には、異動先で使う専門知識を異動前にある程度入れておくことが求められます。
この場合は、大体異動の前月に行われる前任者からの引継時におすすめの本を教えてもらったり、裁判所内の書庫で関連本を借りたりして、ある程度頭に入れておきます。
\裁判所事務官の異動に関する情報はこちら/