2013年4月〜2018年3月まで裁判所事務官として勤務し、現在はライターをしているかもめです。
勤務当時の情報にはなりますが、裁判所職員の内部事情や仕事内容などをご紹介するこのシリーズ。
今回は、裁判所事務官の給与事情についてご紹介します。
ボーナスをもらったときの職員同士のエピソードも書いているので、イメージ作りに役立てば幸いです!
裁判所事務官の給与は号俸制
裁判所事務官の給与は、1人ずつ決められている「号俸」に合った金額を「俸給表」から算出し、支給される仕組みです。
ちなみに、裁判所事務官の初任給は以下の通り。
〈初任給〉
・総合職試験(院卒者区分) 255,600円(行政職俸給表(一)2級11号俸)・総合職試験(大卒程度区分) 224,040円(行政職俸給表(一)2級1号俸)
・一般職試験(裁判所事務官、大卒程度区分) 218,640円(行政職俸給表(一)1級25号俸)
・一般職試験(裁判所事務官、高卒者区分) 180,720円(行政職俸給表(一)1級5号俸)
※金額は、東京都特別区内に勤務する場合の例です。採用Q&A | 裁判所
上記のなかから、総合職試験(大卒程度区分)の場合を考えてみましょう。
「224,040円(行政職俸給表(一)2級1号俸)」と書かれています。
1つずつ紐解いていくと、「行政職俸給表(一)」に書かれた「2級1号俸」の金額である「224,040円」が支給されるということになります。
なお、入庁後の号棒は、人事評価の結果を考慮して決められていきます。
裁判所事務官の給与は、基本的には上がり続ける
勤務日数が不足していたり、処分を受けていたりしない限り、給与は基本的に上がり続けるイメージです。
何か功績を収めたから特別ボーナスを支給する・給与が上がるといったことは聞いたことがありませんでした。
人事評価が判断材料とされているため、どれくらいお給料上がったかな?という感覚で給与表を見ていました。
【試算】手取り額は額面の約8割?控除の仕組みと目安
公表されている「初任給(額面)」がそのまま口座に振り込まれるわけではありません。
民間企業と同様、額面の金額から税金や社会保険料が控除されます。
裁判所事務官の場合、主に以下の項目が差し引かれます。
- 共済組合掛金(民間企業の厚生年金・健康保険に相当)
- 所得税
- 住民税(※前年所得に基づくため、原則として入庁2年目の6月以降から天引き開始)
一般的に、初任給の手取り額は「額面のおおむね75〜85%程度」が目安とされており、この比率は公務員・民間で大きくは変わりません。
| 区分(採用時) | 初任給(額面) | 手取り目安 |
| 大卒程度 (行政職(一) 1級25号俸) | 約23.0〜23.5万円 ※地域手当等含む | 約18〜19万円 |
| 高卒程度 (行政職(一) 1級5号俸) | 約18.5〜19.2万円 ※地域手当等含む | 約14〜15万円 |
※手取り額は総支給の約75〜85%として計算した目安です。
なお、実際の額は勤務地の地域手当支給率や、扶養の有無等により変動します。
額面金額だけで比較できない「可処分所得」の考え方

「裁判所事務官の給料は安い」という意見が見受けられますが、生活水準を考える上では、額面給与ではなく「可処分所得」で比較する必要があります。
可処分所得とは、給与から税金・社会保険料・住居費など生活必需コストを差し引いて、手元に残り自由に使えるお金のことです。特に影響が大きいのが「住居費」です。
▼ 民間企業で働くAさん (家賃補助なし・都内一人暮らし)
- ワンルーム家賃目安:6万〜7万円
▼ 裁判所事務官のBさん (公務員宿舎に入居)
- 宿舎使用料:数千円〜数万円 ※立地・築年数等による
裁判所事務官のBさんの例のように、宿舎を利用する場合は毎月の固定費を大きく抑えることが可能です。
公務員宿舎の利用で住居費を抑えることにより、額面の給与が民間企業の平均を下回っていても、自由に使えるお金(可処分所得)の水準が同程度、あるいはそれ以上になるケースも十分考えられます。
期末・勤勉手当(ボーナス)の支給実績について
いわゆるボーナスにあたる「期末・勤勉手当」は、裁判所事務官を含む一般の国家公務員と同様に、6月と12月の年2回支給されます。
支給月数は人事院勧告に基づいて決定されており、ここ数年は年間おおむね4か月強で推移してきました。
令和6年勧告では、年間4.50月分から4.60月分へ引き上げる方針が示されています。
なお、採用1年目の6月のボーナスについては注意が必要です。
- 1年目の6月: 算定期間(在職期間)が短いため満額ではなく、在職期間に応じた「期間率」を乗じた金額が支給されます。
- 1年目の12月以降: 在職期間が通年に近づくことで、満額に近い水準となります。
裁判所職員のボーナスあれこれ
ボーナスをいただける時期になると、島(デスクを向かい合わせで固めている1つのグループ)や、係内で使い道について話題になることもしばしば。
思い切り使う!という方もいれば、自分はお金が増えていく通帳を見るのが好きなんだ〜と言われる方もおり、お金の使い方について個性が見える時期でもあります。
ボーナスで家族旅行に行くからこの日は有給を取りたい、とおっしゃる方もいて、なるほど!と思うと同時に、普段からもっと休暇がとりやすくなるといいなぁと思っていました。
額面以上に「生活の質」は高い
裁判所事務官の給与は、額面だけを見ると民間企業の平均と変わらない、あるいは低く見えるかもしれません。
しかし、「官舎による住居費の安さ」や「確実な昇給・ボーナス」を含めたトータルの可処分所得で考えると、生活の安定感は非常に高い水準にあると言えます。
実際、私が勤務していた数年間を振り返っても、贅沢三昧とはいきませんが、日々の生活でお金に困ったり、生活苦を感じたりすることは一度もありませんでした。
「給料が安いから…」と諦める前に、ぜひこの「実質的な豊かさ」にも目を向けてみてください。
「お給料やボーナスといった『金銭面』の安定感はお伝えした通りです。
ただ、これから裁判所で働く方にとって、お金と同じくらい気になるのが『職場の人間関係』や『付き合い』ではないでしょうか?
- 『公務員の飲み会って、やっぱり強制参加?』
- 『無礼講は存在する? 断ったら出世に響く?』
採用パンフレットには載っていない、裁判所特有の『飲み会の流儀・断りやすさ』といった内部事情については、ブログでは書ききれないためNoteで公開しています。
「裁判所の中にいた人」が書いた情報を参考に、入庁後の人間関係をシミュレーションしておきたい方は、こちらも参考にしてみてください。
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面接対策も行える「就職活動対策講座」も実施されているので、裁判所事務官を目指している方は検討してみてはいかがでしょうか。
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裁判所に20年勤務され、現在は行政書士としてご活躍中の中村圭一さんが書かれた1冊です。
実際のエピソードを踏まえながら、裁判所職員の日常などについて詳しくご紹介されています。
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■裁判所事務官時代のことをまとめた記事になります。
(1)職場環境について
・【元裁判所事務官が内部事情を詳しく紹介】職場環境はどんな感じ?
・【公務員辞めました】公務員になるなら知っておきたい!職場が体育会系にぴったりでしんどかった話:裁判所事務官として勤務するなかで、体育会系の職場にあたった際の出来事を中心にご紹介しています。
(2)仕事内容について
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?電話対応編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?書類作成編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?日直・当直編
(3)退職後のキャリアについて:【元裁判所事務官が詳しく紹介】退職後のキャリアプラン





