2013年4月〜2018年3月まで裁判所事務官として勤務し、現在はライターをしているみさちゅーです。
勤務当時の情報にはなりますが、裁判所事務官志望の方はもちろん、公務員試験を控えている方・裁判所の中の人のことを知りたい方に向け、裁判所職員の内部事情や仕事内容などをご紹介するこのシリーズ。
今回は、民事部や刑事部などの「事件部」に配属された裁判所事務官が行う、書類の受付事務を具体的にご紹介します。
■以下は、裁判所事務官の仕事内容についてご紹介した記事の一部になります。裁判所事務官関連の記事一覧はこちらより確認できます。
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?電話対応編
書類の受付事務は主に4つの仕事で構成
仕事を行う執務室では、裁判所書記官から「新件来たから受付お願い」といった内容の言葉が頻繁に飛び交っています。
基本的に起訴状・訴状・申立書などは、裁判所事務官が最初の「受付事務」を担当することが多めです。
受付事務は、主に以下のような仕事で構成されているので、1つずつご紹介します。
(1)内容チェック
(2)事件番号を発行する
(3)日付や受付した裁判所名などが書かれた受付印を押す
(4)事件記録を作り、裁判所書記官へ引き継ぐ
まずは内容の確認から
まずは、提出された書類の中身を確認します。
マニュアルに沿ってチェックを行い、受理できないほどの問題がなければ「事件番号」を採番します。
受理できないほどの不備がなければ事件番号を採番
受理できないほどの不備がないようであれば、「事件番号」の採番を行います。
裁判所内では「事件番号をとる」という言い方をしていました。
事件番号のメリットは事件が区別しやすくなること
事件番号を割り振るメリットは、当事者名などを確認しなくても事件を区別できること。
事件番号は法律事務所や検察庁など関係先にも伝えられるため、電話口でもどの事件の話なのか認識してもらいやすくなります。
事件番号は受付年度・事件記録符号・受付順を組み合わせたもの
事件番号は事件ごとに割り振られる番号のことで、受付年度・事件記録符号・受付順を表す番号で構成されています。
事件記録符号
事件記録符号(じけんきろくふごう)は、日本の各裁判所が受け付けた事件(民事事件・刑事事件)の種類を識別するために事件に付する、漢字・カタカナ・ひらがな1文字又は2文字により構成される符号である。
上記のとおり、事件記録符号は、最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所など、受け付けた裁判所によっても異なります。
例えば、通常の第1審訴訟事件でも、簡易裁判所では(ハ)・地方裁判所では(ワ)など、細かく分けられているのが特徴です。
令和4年度に地方裁判所で1番目に受け付けた通常の第1審訴訟事件について考えてみましょう。
・受付年度:令和4年度
・受け付けた裁判所:地方裁判所
・受付順:1番目
・事件内容:通常の第1審訴訟事件(事件符号:(ワ))
上記の情報から、「令和4年(ワ)1号」と割り振ることになります。
内部では民事部・刑事部で区別の仕方が違う。事件番号を使わないことも
ちなみに内部では、民事部だと事件記録符号と番号・刑事部だと被告人の名前で区別していました。
手続きなどで外部の方が執務室にいらっしゃる間は、関係者以外の方への情報漏洩を避けるため、事件関係の話は行いません。
刑事事件の記録には、わかりやすい場所に被告人名が書かれているので、人名で特定したほうが仕事を進めやすいのだと思います。
受付印を押して、日付・事件番号を書類に記載
事件番号をとったら、受付印を押します。
受付印は、裁判所名・事件番号欄が刻印されたゴム印に、日付をくるくると変えて使う日付印がついたものです。
事件番号欄のみが空欄なので、採番した事件番号をもとに記載していきます。
事件記録を作り、裁判所書記官へ引き継ぐ
提出書類をまとめたファイル「事件記録」を作り、裁判所書記官へ引き継いだら、受付の仕事は終了です。
なお、事件記録作りについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
■そのほかの裁判所事務官関連の記事一覧は、こちらより確認できます。
- 地方上級・国家(一般・専門)職に加え、裁判所の試験対策にも対応:併願希望でも入りやすい
- オンラインなので、時間や場所に関係なく学習を進められる:働きながら裁判所事務官への転職を目指す場合にもおすすめ
- 講師の方が作成したオリジナルテキストも手元に届く:自分で教材を選ぶ・購入する手間もかからない
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入庁後のイメージを膨らませることで、受験勉強のモチベーションを上げたいときにも役立つでしょう。
裁判所事務官の仕事がわかる本を探している方は、ぜひチェックしてみてください。
【関連記事】
■裁判所事務官時代のことをまとめた記事になります。
(1)仕事内容について
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?電話対応編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?書類作成編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?日直・当直編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?期日調整編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?手続案内編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?証人尋問編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?裁判日程表の作成・法廷への貼り出し編
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?裁判員の選定に関わる仕事(前編)
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の仕事内容は?裁判員の選定に関わる仕事編(後編)
【元裁判所事務官が詳しく執筆】裁判所事務官の仕事内容は?事件記録作り編
(2)職場環境について
・【元裁判所事務官が内部事情を詳しく紹介】職場環境はどんな感じ?
・【公務員辞めました】公務員になるなら知っておきたい!職場が体育会系にぴったりでしんどかった話:裁判所事務官として勤務するなかで、体育会系の職場にあたった際の出来事を中心にご紹介しています。
(3)仕事道具について
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官のIT事情:裁判所事務官が手続き・書類作成に使用するツールなどについてもご紹介しています。
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官のパソコン事情:裁判所事務官に貸与される、ノートパソコンのことについてご紹介した記事になります。
・【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官の六法事情:裁判所事務官が法律の条文を調べるときに使用する本、六法についてご紹介しています。
(4)給与について:【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官のお給料について
(5)裁判所書記官試験について:【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所書記官試験の受験事情
(6)退職後のキャリアについて:【元裁判所事務官が詳しく紹介】退職後のキャリアプラン
(7)裁判所事務官になるなら知っておきたいこと:【元裁判所事務官が詳しく紹介】裁判所事務官になるなら知っておきたい。司法行政文書について